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東京マラソンへのチャレンジは
仕事の打ち上げから始まった。
東京マラソンの倍率は12倍。
仕事の打ち上げでそこにいたメンバー全員で、
当たらないだろうから運だめしに応募してみました。
他の友だちも含め、10人ほどで応募しましたが、
何と僕だけ当選。
ランニングしている人にとってはうれしい出来事だとは思うのですが、
僕は当時54歳。20年以上何の運動もしていない。打ち上げメンバーで当たったら必ず練習して参加すると決めていたので、そこから苦闘が始まりました。
もし50歳を越えて普段走っていない人が一念発起して
初フルマラソンにチャレンジする時、
少しでも参考にしていただければ幸いです。
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靴買わなきゃ。
ジョギングシューズを持っていないため、アシックスストア東京でお店の方に相談しました。マラソン未経験であること。無理をせず足に負担をかけずに走りたい旨を伝えました。おすすめいただいたのが「GEL-KAYANO24」でした。色はブラック基調にイエローを選択。
https://murablog.jp/gel-kayano24
お店の方もフルマラソン経験者ということでしたので軽い気持ちで「これから真面目に練習すれば、ぎりぎり7時間なら完走できますかね」と聞いたら、真剣な顔のまま、首を縦に振ることはありませんでした。これはやっぱり、過酷な挑戦になる。当たり前ですね。本番まで日もそうないし。ランニング用靴下とランニングタイツを買い、どの地点でどんなジェルを摂取したらよいかのアドバイスを受け、店を後にしました。
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あせらず走らずひと月歩く。
マラソン挑戦を始めるにあたって参考にしたのが、コニカミノルタのマラソントレーニングサイトでした。もちろんSTEP1の完走を目指そうです。
https://www.konicaminolta.com/jp-ja/runpro/running/full/index.html
そこには最初は週に2、3回。20~30分程度のウォーキングから始めようと書かれていました。中高生ならいざ知らす、運動をまったくしていない54歳が突然走ってしまうと、ひざを痛めてしまうでしょう。ですから一カ月は長めに歩くことに専念しました。
3キロからスタート。車が通らない玉川上水の緑道をひたすら。毎日ウォーキングしていると、脚の筋肉はもちろん、心肺機能も少しずつ強化されていくのがわかりました。ウォーキングの仕上げとして、休日を使って何回か分けてマラソンコースをすべて歩くことにしました。東京マラソンのコースが、スタート地点の先から続いていく下り坂をのぞいて、かなり平坦であることがわかりました。初心者で東京マラソンに初めてトライする方は、一度歩いてみることをおすすめします。
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近くの公園にウッドファイバーの
ウォーキングロードを発見。
ウォーキング期間を終えジョギングを始めることにしたのですが、やはり怖いのが故障です。友人がジョギングを始めた際、脚の調子がよかったのでいきなり20キロ走ってしまい、結果ひざを痛めて挫折したという話を聞いていました。同じ轍を踏むわけにはいきません。
走るのは歩くより3倍負荷がかかると本で読んでいました。できるだけ脚に負担をかけずに練習できるところはどこだろう。近くの公園にやわらかい道があることを思い出しました。実際に歩いてみると木片の絨毯のようなやわらかさ。そこはウッドファイバーが敷き詰められたウォーキングロードでした。マラソンの日まで、基本的にここ以外で走るのはやめよう。そう考えたのでした。
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ジョギングを始めて2カ月で
ハーフマラソンにチャレンジ。
ジョギングを始めてちょうど二カ月の12月16日。
とにかく本番まで時間がないので、普段練習では1キロ8分半~9分の超スローペースでしか走れなかったのですが、葛西臨海公園で行われたハーフマラソン大会「クリスマスチャリティーラン」にチャレンジしました。
チャリティーマラソンなのでゆっくりの人も出場するんだろうなと思いましたが甘かった。スタートしていきなり最後尾。時間制限がないので、
とにかく完走のみが目的ではあるものの、やっぱり寂しい気分。
しかし、オーバーペースが一番の敵なので、
最後尾ペースを守ろうと思いました。
心の中で「僕はしんがり隊長だ!」なんて励ましながら。
女性ランナーでゆっくりめの方がいらしたので、
その少し後ろをついていかせていただくことにしました。
それが大正解。ほぼ最後尾ではあるものの、
正確なペースで、周回を重ねてくれました。
最後の方でその方にもついていけなくなったのですが、
前半1時間17分25秒
後半1時間10分42秒タイム
2時間28分7秒で完走できました。
前半ゆっくり走ったので後半タイムが上がりました。
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3カ月後に東京30Kを走る。
本格的に始まるマラソンシーズンを控え、ある人はタイムを向上させる脚をつくるために、ある人は初フルマラソン完走のために、重要な役割を果たすのが30K。マラソンベテランの方から、ハーフと30Kは必ず走った方がよいとのアドバイスをいただいていました。スタートは大島小松川。荒川に沿った道を折り返しながらひたすら走ります。
https://runners.30k-series.com/tokyo-winter/outline/
フルマラソンの自己申告タイムによりスタート時間が異なるのですが、マラソン未経験なので一番ゆっくりの集団を選びました。楽なペースでの展開だったので、これなら苦労せずに30キロ行けると思ったのが甘かった。20キロあたりで集団から離脱。一人旅が始まってしまいました。前半には感じることのなかった起伏に脚が追い込まれ、川から吹き付ける寒風が身体だけではなく、心まで冷やしてくれました。
30キロを完走できなければ、フルマラソンの完走はないとの一念で、折れそうになる心をガムテームで貼るように粘りました。通過チェックの電子板が、多分一カ所に3つ付いているのではないかと思ったのですが、大会スタッフがどんどん片付け始め、1つになってしまったように感じました。
おーい、待ってくれ。亀の歩みだけど走っているヤツがいるんだよ~~~。俺を見捨てるなよ~~~。そんな心境でした。心身ボロボロになりながら制限時間の15分前、3時間45分で完走しました。脚が突っ張ってしまい、ジャージのズボンを履くことができず、サポートしてもらいました。脚を引きずりながらなんとか最寄りの都営新宿線・東大島駅にたどり着きました。
余談ですが、先頭集団が折り返してすれ違うとき、ドドドドドッと地響きがしこちらに向かってくる様子が、競走馬が全力で突進してくるようで怖かったです。
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1週間前から尿トレする。
フリーランスで働いており、何の気兼ねもなく仕事中に気分転換にトイレに入るため、なんとなく頻尿になっていました。そこで走る以外のトレーニングとして、尿トレを導入しました。
尿トレっていったい何?東京マラソンは寒さの中行われるため、特に前半トイレが大渋滞します。そのロスタイムは遅いランナーにとって死活問題。ですので自分に長時間おしっこをしなくても大丈夫と暗示にかけました。毎日毎日「僕は1週間ぐらいおしっこをしなくてもなんともない。そんな尿知らずの男なのさ」。そう言い聞かせました。一言でいうと、あほですね。
それから秘策も考えました。「市民ランナー」を超越した『尿瓶ランナー』。首から尿瓶をつるし、やばくなったらコースを外れて放尿。ダメだ、こりゃ。
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ついにその日がやって来た
【東京マラソン6時間8分で完走】
前夜は初マラソンに興奮してしまいほとんど眠れませんでした。
集合時間は8時45分だったのですが、トイレなどが混雑すると聞いていたので、7時過ぎには現地に到着していました。カラダをほぐしたり、軽くアップしたり、トイレに行ったり、少し水分をとったりして集合時間を待ちました。
トイレのことを考えると、あまり水分はとりたくない。しかし、脱水症状を起こして倒れたら、トイレどころの騒ぎじゃない。スポーツドリンクを噛むように、カラダに少ししみ込ませました。スタート順はフルマラソンの自己申告タイムで集団が分けられます。もちろんでたらめの申告はいけませんが、自分のように完走できるかできないかのボーダーラインにいる者は、他のランナーの邪魔にならない範囲で、少し早めの集団を選択し、スタートを切った方がいいのではと思いました。
それというのも参加者が36,000人。スタートライン通過が遅い人ほど後になってしまい、その時間のロスは考慮されないんですよね。私のように極端に遅い者は何カ所もある関門をクリアするのに、数分の時間ロスは死活問題になってしまいます。実際に私がスタートラインを通過できたのは、号砲から約12分後でした。例えば通過まで30分かかってしまうと第一~第四関門の閉門まで余裕0分のところが出てしまいます。
スタートラインを越えて走り始めると、野に放たれたウサギのような開放感がありました。30Kは密集していて走りにくかったのですが、東京マラソンは道路が広いだけあってパーソナルスペースがとれる感じで走りやすい。そして5キロの下り坂。気持ちよく走れることは確かなのですが、ここでスピードあげたら絶対に最後まで持たない。そう言い聞かせ自制しました。
当日、まず飯田橋で何組か応援隊が待機していると聞いており、極力歩道側を走っていたのですが結局誰も発見できず。「この参加人数では最後まで誰とも会えないかもしれない。仕方ない、一人でがんばろう」と気持ちを切り替えました。その途端、名前を呼ぶ声が聞こえついに発見。うれしくて、そして軽やかな気持ちになりました。応援してくれる人たち何人かに例えばピカチュウの服を着てもらったりすると走っていてもこちらからわかると思いました。
キロ8分ペースで行こうと思い、30Kの時よりかなり遅いペースで走っていたつもりだったのですが、途中で時計をみると若干オーバー気味でした。ですので意識的に落としたのですが、1キロごとの表示が見えないところがあったり、下り坂のためか自分では落としているつもりなのに、なかなか落としきれませんでした。
また、トイレの係員が「只今トイレ15分待ちです」というアナウンスをしている状態がかなり先まで続き、トイレに行くと閉門時間に引っかかってしまうので、そのこともプレッシャーでした。
(ふくらませます)
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救世主サロンパス。
その後も無理のないペースを心がけていたのですが、やはり20キロの壁があるようで、そこを過ぎると脚がだんだん重くなってしまいました。30キロ過ぎには両太ももがかなり張った状態になり、つったり痙攣したりしないように、脚の負担を減らすことだけを考えて走りました。30キロを越えたあたりから早歩きとあまりかわらない速度になってしまったとは思うのですが、トイレと友人を発見した時をのぞき、自分の意識としては最後まで歩かずに走りました。予定よりだいぶ遅くなってしまったのですが、一番の目標である実質4カ月のトレーニングでの完走は達成できました。
終盤は自分なりに楽しもうと思い、沿道でハイタッチの態勢をとっている人たちに積極的に近づき、100人以上とハイタッチしゴールしました。日本記録が出ていたことは夜まで知りませんでした。
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【今後のマラソン】
【しんがり隊】