今から7年ほど前、足利市のシティプロモーションのキャッチフレーズ制作に参加した。足利学校、本堂が国宝の鑁阿寺、織姫神社、渡良瀬川の美しい夕陽、映画の街。魅力的なものがそろっていながら、人が太田のイオン、佐野のアウトレットなどに流れてしまう。当たり障りのないものではなく、起爆剤になるような強いキャッチが必要だと思い、思考をめぐらせていたその時だった。
糸井重里さんが前橋のまちづくりのビジョンとして、「めぶく」を考案された。長い時間をかけて醸成されていくことを目指すであろうその言葉に、ショックを受けた。
何度か前橋を訪れたことがあるが、駅からどこの都市にも負けない道路、けやき通りが伸びているのに不思議なほど人がいない。200メートル歩く間に、誰ともすれ違わない。人口約33万人の県庁所在地。人はいったいどこにいる?そんな気持ちになった。
前橋はどう町をめぶかせていくのか。言葉を考える人は考えて終わりのことが多いが、糸井さんはきっと自ら動かれるので、どのように行動に移すのか、ずっと気になっていた。そして2022年、ほぼ日でみんなでつくる本のフェス「マエバシBOOK FES」の情報を目にし瞠目した。そこをつきますか!
https://www.1101.com/n/s/mbf2022_boshuu
来場者は4万8千人。それから2年後の2024年はなんと6万3600人。読書家ではない私でも、本でそれだけ多くの人が交流し、目を輝かせ、自分が所有していた本が別の人のところに旅立っていくことは、なんだかとてもうれしいことだった。
私もおじゃましたが、欲しい本をいただいて散歩して戻ったら会場の商店街は通れないほどの人だかり。みなさん真剣なまなざしで本を選んでいた。

長い時間をかけてさらにどうめぶいていくのか。これからの前橋に注目だ!