13歳。人差し指からレコード針を落とす。ドラム、ハモンドオルガン、ハーモニカ。吉田拓郎さんの「春だったね」が流れる。なんだこれは!♪曇りガラスの窓をたたいて 字余りというのか抑揚が宙に浮いて波打っているというのか。このメロディは楽譜では表現できないものではないか。そんなものがこの世にあったのか。この世にないのならこのメロディは何だ。全身に電流が走ると同時に笑いがこみ上げてきた。そして快哉を叫んだ。
こんなに自由でいいんだ。何もとらわれることなどないんだ。言葉ってもっと自由でいいんだ。それはコピーライターになった時からの道しるべになっている。
コピーもアイデアも自由に。そして私はボツ王となった。