中学生の頃、吉田拓郎さんを皮切りに、フォークの世界をほじくっていった。当然の如く、ザ・フォーク・クルセダーズにたどり着くことになる。メンバーは、北山修氏、加藤和彦氏、はしだのりひこ氏。帰ってきた来たヨッパライがあまりに有名。もちろん加藤、はしだ両氏も素晴らしいが、一番興味を持ったのが北山修氏だった。
その後の氏の「風」「花嫁」「戦争を知らない子供たち」「あの素晴らしい愛をもう一度」4つの歌が輝いていた。「白い色は恋人の色」「さらば恋人」他名曲は数知れない。氏は作詞をされたり時に歌ったりされているが、精神科のお医者さんなのである。
戦争を知らない子供たち、さすらいびとの子守唄などの著書にも触れた。私が高校生になると、氏は自切俳人とヒューマン・ズーという活動をされた。
メンバーは北山修氏、高石ともやとナターシャー・セブン、杉田二郎氏。発表された『自切俳人のゴールデン・アルバム』に秀作は多いが、「出家とその弟子」が凄まじかった。北山氏と杉田氏の掛け合いからはじまり、♪ふんどしの下から風が吹く~という意表をついた歌が始まる。それがおかしいのなんの。腹をかかえて笑った。
ナターシャー・セブンも杉田二郎も好きな私にとって、ヒューマンズーのコンサートは素晴らしかった。なぜか自切俳人を励ます会というものがあった。特別に何かをする会ではなかったと思うのだが、会のメンバーとして、コンサートの打ち上げか解散式だったのかよくわからないが、新宿の当時KDDビルでの集会に参加した。唯一の未成年で、学生服を着てその場にいるのは自分だけだった。会の終わりのあいさつで、北山氏は「終わってしまう寂しさは、自分で解決していかなければならない」という内容のお話をされていたと記憶する。
それからもふと横を見ると北山氏の活動があった。加藤和彦氏の死の際には、加藤氏の唯一無二の素晴らしさを書かれると同時に、精神科医として救えなかった無念を吐露され、それも心に刻まれた。
そして今、氏の著書『「むなしさ」の味わい方』を手にしている。心の空洞とどう向き合い生きていくのか。私の中では高校生の時にうかがった氏のあいさつと重なりあうところがあるのだ。