小林には燃えない美学がある。

コピーライターのスタートは、長沢岳夫さんの事務所だった。当時長沢さんは、ペンギンアニメで展開したサントリー缶ビールのキャンペーン、サントリーローヤル、タケダのアリナミンAその他、新入社員が入っていける規模ではない仕事をされていた。

また、今でもそうだが自分が引っ込み思案で消極的なため、様々な場面でまったく役に立たなかった。振り返れば社会経験のないものが、ずば抜けた実力が要求される世界でいきなり役に立つはずはないのだが。

どう動けばいいのかわからず、結果迷子のような状態だった。自分の性格もあり、その状態を改善することもままならなかった。2年が過ぎた頃だろうか。長沢さんより美しい言葉をいただいた。

「小林には燃えない美学がある」

ああ、何というロマンチックな響きだろう。最高だ。うれしかった。

今は単にぐうたらな生活を送っていて不完全燃焼なだけなのであるが、燃えない美学という言葉は自分の大切な場所で消えることなく燃えている。

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