芹沢洋一郎さんが亡くなられた。亡くなられてまで素晴らしいものを残した。

それを知ったのは先週のことだった。久しぶりにFacebookに立ち寄った。奥様が訃報を伝えていた。

20年以上前だろうか。芹沢さんは広告代理店のクリエイティブディレクターであった。声をかけていただき、外国生まれのポテトチップスのCM企画に参加した。サッカーのフリーキックで相手の蹴ったボールが股間にあたって卒倒する。股間も絶体絶命かと思ったらそこにポテトチップスの固い棒状の箱が入っており、倒れたままで一片出して一口食べて商品名を叫ぶというしょうもない案だったが、芹沢さんは真剣に聞いてくれた。

そんな記憶がよみがえった。奥様の文のラストに、本人から預かっているメッセージですと書かれていた。何だろう。

「SNSで繋がっているみなさまへ。

芹沢洋一郎です。上記妻からの報告にありますように、私この度亡くなりました」

ひょうひょうとした、人ごとのような始まり。思わず吹き出してしまった。それに続き20万人に1人もいない病気と闘っていたこと。最後まで映像制作に全力を振り絞っていたこと。映画関係者への感謝の気持ち、お世話になった方々へのありがとうの気持ちが綴られていた。そして、締めの言葉が、

お先に、おやすみなさい。

なんとあたたかくユーモアのあるラストレターだろう。

その文章を読み終えるとしばらく動けなかった。芹沢さんは同い年。あまりに早いが、いつか自分にもその時が訪れるだろう。芹沢さんのように素晴らしい文は書けそうにないが、自分なりのラストレターは記しておきたいと思った。

うちうちの人たちへ向けたレターだったと思うのだが、拡散され多くの人がこの美しい文章に共鳴したのだろうか。数日後芹沢さんのことがヤフーニュースに取り上げられていた。本人はまったくそんなことを考えていなかったと思うが、9月29日現在で13万いいねがついたという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cff5ca50c88b65ce16293453383aabe7b89d355a

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