9年ほど前、長めに宿泊して瀬戸内国際芸術祭を開催している島をいくつかまわったことがある。直島を中心に、豊島、犬島、小豆島。芸術作品はもちろん、移動が船になるところもこの芸術祭の魅力だ。

他の島のアート作品に触れようと思う。まず島の桟橋に行く。目指す島によって船は大小ある。島を後にする。5人で来ていた人たちだろうか。3人はフェリーに乗っていたのであるが、何をしていたのか。2人は駆けてきたのだが乗り損なって出船してしまったのを甲板から目撃した。バスなどではたまにあるが、船であるところが非日常感たっぷり。
小豆島では島を散策していると焦げたような香りがする。火事かと思ったのだが、島にはごま油で有名なかどや製油があり、ごま油製造の香りだった。
瀬戸内国際芸術祭の作品には印象的なものが多かったが、豊島美術館には驚かされた。床に開けられた小さな穴から地下水が湧き出し、一粒の水滴が現れる。湧き出した水滴は、傾斜がつけられた床面を転がり、次々と合流して大きくなっていく。その水も他の穴に吸収され消えていく。
アーティスト・内藤礼氏と建築家・西沢立衛氏によるアートと建築、自然が一体となった建築。素晴らしい発想だ。
訪れてから何年もたつが、半年ほど前に新プロジェクトXで美術館周辺の荒れた畑を信じられない力で棚田として復活させた方々の物語を見た。様々な方の途方もないエネルギーで、瀬戸内国際芸術祭は成り立っている。

豊島美術館