コピーライターをやめずにいけたのは、中村佳代監督のおかげだ。

20代前半の頃、今思えば当然なのだがまったくコピーが書けない。まったく会社の役にも立っていない。完全に迷子状態で先行きの展望もなく希望を失っていた。コピーライターをするのは無理かもしれない。鈍い思いが鎌首をもたげてきていた。そんなどん底の時代に突如現れたのが中村佳代さんだった。

「小林さんと仕事したいと思っていたんです」

そんな人がこの世にいたのか。驚いた。うれしかった。農協ローンのCMの仕事だった。中村さんは若いながらもすでにヒット作といっていいCMをつくっていた。笑いながらおこなった打ち合わせもとても楽しかった。撮影は早朝。表参道だったのでタクシーで駆けつけるとまだ誰もいなかった。と思ったら一人いた。吹越満さん。まだ20代前半だったのではないか。

「早く着いちゃいました」

自転車でそこまで来たらしい。

無事撮影を終え、その後も何度も中村さんとはご一緒したが、まさに中村さん以外にはあり得ない独特の感覚で様々な作品を生み出し、それは後の映画監督での活躍へつながっていった。ほんとに凄い。そのCMをきっかけに、自分もなんとか持ち直した。

https://nanakiinfo.wixsite.com/eigatocm/director

ほとんど知っている人がいないであろう農協ローンのCM。とても大切なものだ。それから何十年かコピーライターを続けられている。中村さんは私の大恩人なのである。

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